理事長挨拶
「公益財団法人全国商業高等学校協会」を代表して、御挨拶を申し上げます。
本協会の前身である「財団法人全国商業高等学校協会」は、昭和31年に「高等学校における商業教育に関する調査研究を行い、且つ、その成果の普及徹底を図り、商業教育の発展向上に寄与すること」を目的として発足し、昭和23年に発足した「全国商業高等学校長協会」とともに商業教育の振興・発展に寄与して参りました。
昭和25年に第1回「珠算実務検定試験」(昭和31年に「財団法人」が設立するまでは全国商業高等学校長協会が主催)を実施して以来、平成24年6月には受験申込者数の累計が1億人を突破し、令和2年度末には珠算・電卓、簿記、ビジネス文書、英語、情報処理、商業経済、会計実務、ビジネスコミュニケーションの全ての検定試験を合わせた受験申込者数の累計が1億1,705万人を超えるなど、商業を学ぶ生徒達の知識・技術の定着に極めて大きな役割を果たしています。また、本協会は毎年、ビジネス計算、簿記、ワープロ、英語スピーチ、情報処理、プログラミング、生徒商業研究発表などの全国競技大会・コンテストを開催して生徒の知識・技術の向上に努めており、今やこれらの大会やコンテストは生徒達の日頃の学習成果を発表する機会として、また部活動の大きな活動目標として欠かすことのできない存在となっています。
こうした本協会の公益的な事業活動が評価され、公益法人の制度改革により、平成23年4月1日に「公益財団法人全国商業高等学校協会」の認定を受け、「産業社会の発展に資する目的で、高等学校における商業教育の振興、普及を図り、社会に貢献できる自立した有為な人材育成に寄与すること」を事業目的として新たなスタートを切りました。さらに、適正かつスピーディな意思決定ができるように令和3年度からは財団組織の改編を行い、組織力の強化を図っているところです。
さて、本協会は、①商業教育に関する調査・研究、②教員の資質向上、③生徒奨励、④商業に関する各種検定、⑤商業教育の振興に関する助成の諸事業を展開していますが、主要な事業として、いくつかの事業をここで御紹介します。
はじめに、高等学校学習指導要領に対応した『各種検定試験』の実施です。本協会で実施している検定試験は、第一に文部科学省の学習指導要領に則った検定内容であること、第二にその学習の到達度水準を示し学びの質を保証することを目的とする検定試験であることを念頭に置き、実社会で活用できる知識・技術の習得を図る検定試験を目指し鋭意努力を重ねています。
また、教員対象の『海外商業教育事情視察事業』(昭和39年度に始まり令和元年度まで54回)と、生徒対象の『高校生国際交流事業』(平成22年度に始まり令和元年度まで10回)とを統合し、令和6年度から『海外研修事業』として毎年12月に実施します。教員にも参加してもらい、生徒の商業高校の学びに関連した市場調査等のフィールドワークを現地の大学生とともに体験し、視野を広げ、国際感覚を身に付け、生徒にとって自らの学びをビジネスの振興による地域の発展に結び付ける機会を設けます。
さらに、本協会では昭和56年度から、高校の商業に関する学科を卒業し大学に在学する者を対象として、返還義務のある貸与型の『大学生奨学金事業』を実施しており、平成24年度には奨学生が商業科教員として正規採用された場合に返還を免除する規程を加えました。平成22年度からは、高校在学中の生徒についても『高校生奨学事業』を導入し、返還義務のない給付型の奨学金制度として一人につき年額5万円、全国で250名、合計1,250万円の規模で実施しています。将来の日本を担う優秀な人材を育成するためにも、この制度の趣旨を御理解いただくとともに、今後も有効に御活用いただければ幸いに存じます。
結びに、本協会は今後も公益財団法人としての使命を自覚し、内閣府の監督のもとコンプライアンスとガバナンスを適正に確保しつつ、文部科学省の御指導を賜りながら全国商業高等学校長協会及び関係諸機関とより一層緊密な連携を図って、商業教育の更なる活性化を目指します。
全国の皆様の御理解と御協力を切にお願い申し上げ、「公益財団法人全国商業高等学校協会」の代表としての御挨拶といたします。